時を超えた「一期一会」のメッセージ ~ある棟梁の物語~
「一期一会」 日本語のなかでも 大好きな言葉の一つです。 「粋だなぁ、 この言葉をさらりと 使いこなして。 どんな人だったのだろうか」 と思わず惚れ惚れするお話を ある方からお聴きしました。 今日は、永い時を経て 今に伝わる先人の造作と、 言葉に託された ミニストーリーです♪ ―それは、日本の木造建築の 奥深さ、素晴らしさ そして木々の命と そのぬくもりを 次世代の子どもたちへ、、、と 伝えるための ある方の特別講座に 飛び入りで参加させて もらっていた時のこと 講師のお一人だった ある大工の棟梁から 教えて頂いた素敵なお話です。 何年も前のこと、棟梁は はじめて文化財修復の仕事を 請け負うことになったそうです。 そしてある時、 改修の現場にいた棟梁は 屋根裏の片隅で 思わぬものに巡り合います。 取り外した古材の裏側に 墨跡と共に とても流麗な文字で こう書き残されていました。 「書き置くも 鑑となるや 墨付けの跡 見るも触れるも 一期一会」 この、語らずとも伝わる 時空を超えたメッセージに 「僕も大工としての経験は まだまだ浅い頃だった。 僅かに残る墨跡と その句を見た時、 屋根裏で独り心が震えたね! その時の驚きと感動は 今でも鮮明に憶えてる。」と 『―この墨付けの跡を 後世の誰かが目にする時 私はもうこの世に居ない 直接君に教えてやることは 叶わない ―それでも、 私が何を云わんとするか この墨を見れば 君にはちゃんと判るだろう? この墨跡が私の替わりとなって 君に示してくれるだろう 私がどうして こんなふうに墨を打ったか その意図も、心も 君にはきっと手に取るように 伝わるだろう そう。墨跡が私の代わりに 鑑となってくれる、、、 先人の造作を見ることだって、 それに触れることだって、 それを残した本人は もうこの世に居ないけれど 一期一会の大事な出逢いだ― 』 棟梁は、 「もうまさにね、 これを書いた人の気持ちが 物凄く分かるんだよね。 墨付けの仕事は、 経験を長く積んで 腕のある職人にならないと なかなか任せてもらえない 難しい仕事でもあるんだけど、 だからこそ、 『あぁ、 ここにこう墨を打ったのは きっと、こういうことだな』 というのが、墨跡を見ると 手...